講師:兼松 芳明氏
株式会社インテリア プランツ 東京農業大学農学科卒業 都内大手生花店に入社、社内研修の講師を務める。 現在は、株式会社インテリアプランツに勤務。ガーデニング教室の講師を勤める。 ・英国王立園芸協会会員 ・同協会コンテナガーデニングマスター ・スカイフロントコーディネーター
インテリアプランツとは
VINICE
今年の冬は関東でも何度も雪が降るほど、寒い冬となりました。 しかし、そんな凍えるような寒さともそろそろお別れです! 待ちに待った春の到来は目前です。 今まで眠っていた花々や草木がキレイに育つこれからの時期、上手な植物の育て方を教えていただきましょう。今回は、観葉植物にテーマを絞って、お届けいたします! では、早速、サブタイトルにもありますが、「インテリアプランツ」とは何ですか?
兼松先生
インテリアデザインの素材として室内で鑑賞される植物を インテリアプランツと呼んでいます。一般的には観葉植物と呼ばれていますが、インテリアにマッチしたフォルムや葉色などを持っていてインテリア全体を引き立たせる観葉植物を特別にインテリアプランツと呼んでいます。 園芸での植物は育てる過程を楽しむのに対し、 インテリアプランツはインテリアとしての素材に観賞価値があり、インテリア全体で楽しむので、お部屋や家具にマッチした植物であることが必要となり、植物が元気であることがなにより大切です。
VINICE
なるほど。インテリアのひとつとして空間にマッチしたり、 空間のアクセントとなる、鑑賞するための植物なのですね。
兼松先生
そうですね。図にして説明しますと右図のようになります。
VINICE
観賞用の植物となると、最初に購入するときデザイン重視で選んでしまいがちですが、その美しいデザインを保つために、上手に育てることが大切なのですね。 では、上手に育てるには、どのようなことに注意すればよいですか。
兼松先生
植物を育てるにあたって、置き場所が植物を維持できる環境であるかをまず第一に検討しましょう。 温度、日照などが植物にとって最適な状態かということです。 自然光が入らず、使用している時のみ照明を点ける洗面所や浴室等は育てるのに工夫が必要です。そして、インテリアにマッチした植物とコンテナ(プランター・鉢)を選びましょう。
インテリアに合ったコンテナ
VINICE
インテリアに合った植物やコンテナ選びがなかなか難しいと思うのですが。
兼松先生
そうですね。では、まずコンテナについてお話しましょう。 コンテナには鉢カバータイプと植木鉢タイプがあります。 鉢底に水抜き用の穴が無いタイプとあるタイプです。 穴が無いタイプは、水が出ないので鉢カバーとして中に鉢を入れて使用します。素材によっては漏水対策が必要のため、中に受け皿が必要なものもあります。 穴があるタイプは、直接培養土を入れて植物を植えて植木鉢として使用するもので、鉢底に排水用の穴があるためお部屋の中では受け皿が必要です。鉢カバーとして中に受け皿を入れたり、コンテナの下に鉢皿をセットして使うこともできます。培養土を直に入れると表面に水が染み出し汚れやすくなります。コーキング材などで穴を塞いで鉢カバーとして使用することができますが、コンテナの材質によっては水が染み出す場合があるのでテストをしてください。
VINICE
コーキング剤とは、洗面台や浴室などですき間に使う接着剤のことですか?
兼松先生
はい、そうです。コーキング剤はホームセンターなどで安く手に入るものです。頻繁に植物に水を与えるので、床や家具を汚さぬように防水対策はしっかりしてくださいね。
VINICE
では、鉢カバーの形や色、素材はたくさんありますが、 どんな鉢カバーがオススメですか。
兼松先生
鉢カバーは、陶器、プラスチックなど様々な素材がありますが、 鉢カバータイプは防水性が必須です。 デザインとしては、鉢カバーはフローリングや家具の色にマッチさせることが大切です。フローリングが薄い色の場合は、鉢カバーを白などの明るい色にして、フローリングが濃い色の場合は、鉢カバーは黒やこげ茶などの暗めの色を選んで、雰囲気にマッチさせてください。また、鉢カバーの形は、ナチュラルテイストの場合は、丸型、白、テラコッタなどが合い、アーバンテイストは、四角、白、黒など、アジアンテイストは丸型、こげ茶、黒などが合わせやすいです。
VINICE
家具や他のインテリアと一緒に合わせ、トータル的に考えて鉢カバーを選ぶことが大切なのですね。
観葉植物の注意事項
兼松先生
観葉植物を育てるのにあたって、トラブルを防止することも重要です。主に、3つほど注意していただきたいことがあります。 「貫入(かんにゅう)」・「結露」・「家具やフローリングの養生」です。 貫入とは、陶器の焼成時に糖度と釉薬(うわぐすり)の収縮率の差によって表面に細かいひび状のものが発生します。コンテナに直接培養土を入れると、わずかですが、水分が染み出して水の中のミネラルなどが粉として表面に付着することがあります。 続いて、結露は、温度差により生じる露です。結露がでる室内では、大型の植物はキャスターなどで移動しやすくして点検することが大切です。そして、鉢カバーはフローリングの上に直に置かないようにしましょう。 最後に、カーペットやフエルトを鉢の底に貼ったり敷いたりして傷がつかないように、家具やフローリングの養生をしましょう。 ※釉薬(うわぐすり)・・・陶磁器などを製作する際、粘土等を成形した器の表面にかける薬品のこと。
VINICE
トラブルを事前に知っておくと先に手を打つことができますね。 トラブルを挙げていただきましたが、貫入を防ぐ方法はあるのでしょうか。コンテナに直接入れると貫入してしまいますので、ビニールポットに入れてからコンテナに入れたほうがいいのでしょうか?
兼松先生
コンテナの内側に直接水や培養土が触れなければ浸み出さないので、鉢カバーとして使えば問題は無いです。
VINICE
今回は、主にコンテナについて教えていただきました。最近では、コンテナも様々なタイプのものがあり、背が高くてかっこいい雰囲気の鉢カバーや、反対に丸くてかわいらしい雰囲気をもつ鉢カバーなど、多くの種類があります。 自分の部屋が、ナチュラル、アーバン、アジアンなどのイメージのどれにあたるのかが分かれば、全体も選びやすくなりますよね。 次回は、植物の選び方を教えていただきます。
インテリアプランツの様々な形の種類
VINICE
それでは、実際に植物を選ぶときのポイントを教えていただけますか。
兼松先生
観葉植物は、意外と早く大きくなるので、長く楽しむためには少し小さめを購入し、ゆっくりと育てるというのがいいと思います。また、生育するに従って購入した時の姿と大きく変わるものがあるので注意してください。 下記の表をご覧ください。
VINICE
育ち方にも色々あるのですね。植物を買うときは、買った状態でずっと育つものだと思ってしまいがちですが、そうとは限らないんですね。買うときには、店員さんにどんな育ち方をする植物かを聞くようにしたほうがよさそうですね。
インテリアプランツのグループ分け
兼松先生
そうですね。 また、同じように見える緑の葉でも葉脈の色や茎の色に変化があります。葉に模様の入った斑入り、銀葉、銅葉などバリエーションがあります。
VINICE
なるほど。葉にも種類があるのですね。
兼松先生
はっきりとした形や小さな多くの葉をもつ形やさまざまな葉色があり、その個性により大雑把にグループ分けができます。
また、幹や葉のラインに変化や個性があるとオブジェのように使えます。
VINICE
輪郭線がはっきりしている、していないか、また色によってインテリアに合う植物も変わってくるのですね。
培養土の表面の化粧
兼松先生
さらに、培養土の表面に砂利などを敷いてよりデザイン性を高めるのもお勧めです。 鉢カバーの中の鉢が見えて気になる場合にも効果的な方法です。
VINICE
よくモデルルームやショップに置かれている植物は、バークチップなどで土が見えないようになっていますね。
兼松先生
植物への潅水は培養土の表面の乾き具合を参考にして行うので、培養土の表面が見えなくなり世話がしづらくなるのは難点ですが。潅水等で水がかかると汚くなるものは避けるか、汚くなったら交換しましょう。 表面処理素材の主な材料には、植物性 ミズゴケ、バークチップ、ココヤシの繊維、木炭など 鉱物性 砂利などがあります。 ※砂は潅水すると培養土と混じり汚くなります。
VINICE
今回は、観葉植物の形には様々な種類があることが分かり、さらには自宅のインテリアに合った植物がどんなタイプなのかが分かりました。 次回は、植物の育て方を教えていただきます。
インテリアプランツの性質
VINICE
Lesson1・2では、インテリアプランツの基本や選び方を教えていただきました。続いて、インテリアプランツの上手な育て方を教えていただきます。
兼松先生
室内でインテリアプランツを楽しむ場合、低日照下に置くことが多いので耐陰性が高い必要がありますが、小型のものは森やジャングルなどの低層のあまり明るくないところで生育しているものが多く、大きく育つものでも市販されている若い苗は低層で育つので低照度にも耐えるものがあります。 また、温帯から熱帯を原産地としているものがほとんどで、多くの種類が温暖な気候を好み、関東地方では室内の4月上旬から7月上旬、9月から10月頃の20℃から25℃程度の過ごしやすい気温のときに良く成長します。特に寒さに弱いものを除きマンションでは室内の暖かいところであれば無事に越冬します。
VINICE
インテリアプランツは、気温の低い場所を避け、できるだけ暖かい場所に置くことが大切なのですね。
兼松先生
戸外で育てるガーデンプランツはおおむね成長が早いので、大きくなりすぎるものは剪定(せんてい)や摘心など成長を抑制することを適宜行います。反対に庭の環境に合わなく生育が思わしくないものは移植し場所を変えたり抜いたりします。このように常に手を入れて庭のバランスをとります。 インテリアプランツも同様で、インテリアとの調和を図るために剪定などメンテナンスの必要があります。特にお庭と異なりスペースや生育環境に制限の多いインテリアプランツでは、ガーデンプランツと異なり頻繁に行う必要があります。 いくら生育が良好であっても大きくなりすぎてインテリアとしてふさわしくなくなったり、私たちが生活しにくくなったりした場合は、場所を変えたり場合よっては思い切って交換することが望ましいでしょう。 ※剪定・・・木の枝を切り、形を整えること。 ※摘心・・・枝や茎の先端を切ってわき芽を増やすこと。
VINICE
大きくなりすぎるとインテリアプランツだけが目立ってしまい、家具とインテリアプランツのコーディネートが崩れてしまいますね。 まめなお手入れがポイントですね。
兼松先生
また室内の環境は人間が生活するのに最適に調整されているので、本来のインテリア プランツにとっての最適な環境と一致しない難しい場合もあります。そのようなときは元気が無くなりインテリアとしての価値がなくなってしまいます。 インテリアとしてその植物の持つフォルムを楽しむという点がありますが、なんといっても最大の魅力は植物のもつみずみずしさや生命感にあります。 生育が旺盛で大きくなりすぎた場合でも、また生育が緩慢で植物の持つ魅力が感じられなくなった場合でも、メンテナンスあるいはリプレイスが必要です。
VINICE
みずみずしさや青々としているインテリアプランツを眺めると、パワーや、時として癒しを感じますが、乾燥していて水分が足りていないインテリアプランツを見ると、疲れているような印象を受け、見ている方も元気がなくなってしまいます。 では、具体的にどんな環境の下、育てるのが望ましいのでしょうか。
育て方 日照編
兼松先生
植物の性質から置き場所や育てる場所が決まってきます。マンションであれば南側のリビングの明るい場所で直射日光が当たらない場所(冬は直射日光でも可)、または明るい日陰でほとんどの種類が良く育ちます。 経験上冬季を除き、マンションでは南側のリビングのレースのカーテン越しの日差しの場所が多くのインテリアプランツの維持に適している所といえます。文庫本のように字が小さい本を無理なく読めるような場所です。 また、たとえ日照がなくても十分な人工照明があれば、ある期間は維持が可能と思われますが、植物に必要な光は量的な強さも大事で、光の波長のような質的な要素も長期的には必要です。したがって人工照明のみでは長期の維持は難しく自然光が必要といえます。
VINICE
なるほど。では、光が届きにくいキッチンや洗面台では難しいのですね。
兼松先生
そうですね。その他に、トイレや浴室のように窓が無く、使用している時間以外は真っ暗である場所や、日中は厚いカーテンで窓が覆われていて夜のみ明かりを点けるような場所では健全な生育は難しいといえます。 十分な日照があり元気に生育している場合でも、マンションのリビングなどでは片方からの日照なので生育の早い種類や長い間では枝や幹が曲がってしまうことがあります。また、隅の方や壁際では奥の方の葉が落ちたり、育ちが悪くなったりします。定期的にコンテナ ごと回したり、置場を変えるのが良いです。
VINICE
今までインテリアプランツの向きを変えることがほとんどありませんでしたが、向きを変えることも効果的なのですね。
育て方 ローテーション編
兼松先生
生育に適していない場所にインテリアプランツを置きたい場合は植物が決定的に弱ってしまう前に、別の良好な生育をしているものと交換する方法が良いと思います。 弱ってしまった植物は明るいリビング等の良好な環境で再生を行い、良い状態に戻ったところで早めに交換するローテーションが良いと思います。 例えば、移動しやすい小鉢ではリビングなど良好な環境で複数の植物を育て、明るさが足りない洗面所や窓のない浴室等の場所では植物の衰弱が始まる前に交換するなどが有効です。
VINICE
ローテーションをすれば、直射日光が届かない場所でもインテリアプランツを育てることができるのですね。
育て方 温度編
兼松先生
インテリアプランツは熱帯原産のものが多いので、冬季は温度管理が必要となります。 冬季は日照時間が短くなるので日照の確保も必要となりますが、室内では場所によって室温の管理も必要となります。例えば、窓の近くでは日照は確保できますが、夜間は冷えて種類によってはダメージを受けることがあります。特に、窓辺に置く場合は夜間はカーテンを閉めたり窓辺から離したりすることが必要となります。 冬季は日照の確保と温度の確保といったジレンマがあり工夫が必要です。マンションなどの環境では暖かくほとんどの越冬が可能です。冬季では生育は緩慢となりますが春からの適切な管理でフォローできると思います。
VINICE
冬はインテリアプランツを窓際に置きっぱなしにするのはよくないのですね。
育て方 潅水編
兼松先生
もうひとつのポイントは潅水です。 鉢植えで楽しむインテリアプランツには潅水が必要です。 種類によっては乾燥を好むものや多湿を好むものもありますが、潅水は 戸外の鉢植えと同様に鉢土の表面が乾いたときに行ってください。 鉢土の乾燥は植物の根による水分の吸収によるものよりも、鉢土や鉢の表面(テラコッタ、素焼き鉢のように鉢の表面より乾燥する場合)からの蒸発の方が多いとされています。そのため乾燥の度合いは植物の種類よりも置かれている環境による影響の方が大きいと いえます。 日照のあるところ、エアコンなどで風の当たるところにある植物ほど鉢土の乾燥は顕著です。 また、日照の少ない場所では乾燥が緩慢なので潅水の頻度を少なくする必要があります。環境や植物の種類や状態によって様子を見ながらの潅水が必要です。
VINICE
水のあげすぎも、あげなさすぎも良くないので、植物の様子を頻繁に見てあげ、土が乾燥してきたらあげるのですね。 植物を買ったとき、水をあげる周期などが載っていることもありますが、あくまでも目安と考え、それぞれの家によって温度・湿度が変わってくることを頭に入れておくべきですね。
兼松先生
寒さに弱い種類では冬季はしおれない程度に潅水のタイミングを遅らして培養土を乾き気味にすることで耐寒性を増すことができます。 潅水は培養土の表面に鉢底の穴から出るまで潅水してください。そして、鉢皿や鉢カバーにたまった水は捨ててください。多湿を嫌う多肉植物のようなものは別ですが、少しであれば残っていても大丈夫です。
VINICE
水をあげるときのポイントはたっぷりあげることですね。いままでは、鉢皿にたまった水をあまり気にしていませんでしたが、捨てたほうがよいのですね。 今回は、インテリアプランツの細かい育て方について教えていただきました。次回は、育て方のPart2をご紹介します。
育て方 培養土編
兼松先生 培養土培養土は市販されているブレンド済みのもので十分ですが、多肥の必要はないので元肥の入っている草花や野菜用でない方がお勧めです。ただ、ブレンド済みのものには粗悪なものもありますので、メーカー名や連絡先など袋に明記されているものであれば一応安心です。 ブレンドする場合は、赤玉土小粒:7に腐葉土:3を基本とすると良いでしょう。室内で育てるのは、乾きづらく根ぐされしやすいので、ゼオライトなどの根ぐされ防止剤を加えるのも効果的だと思います。
育て方 施肥編
VINICE Lesson3に引き続き、植物の上手な育て方を教えていただきます。
兼松先生 では、肥料のあげかたからお話しましょう。 植物の生育に必要な成分は空気のほかに土壌中より供給されます。野菜や花卉(かき)のように開花や結実が目的とされるものは、多くの肥料が必要となります。しかしインテリアプランツでは短期間で大きくなるとインテリアとのバランスが悪くなるので、生育はある程度抑制する必要があります。このため最低限の施肥に留めるのが良いでしょう。 ※花卉(かき)・・・花を咲かせる草、花や葉・実などを観賞するために栽培される草本。
VINICE なるほど。では、どんな肥料がよいのでしょうか。
兼松先生 置かれている環境がインドアなので、油粕などの有機質肥料では臭気等の問題もあるので化学肥料が良いでしょう。 鉢土に与えるものでは鉢土の表面に置く固形のタイプと、水で薄めて与える液体のタイプとがあります。液体のタイプは早く効きます。5月から10月頃の成育期に適量を与えることにより葉色が良くなったり葉が大きくなったりといった効果があります。 しかし、下記の2点については注意が必要です。
VINICE 栄養剤が土に刺さっているインテリアプランツは、見栄えがよくなくて残念ですよね。インテリアプランツは成長に伴い、植え替えをしたほうがよいですか?
育て方 植え替え編
兼松先生 市販されているものは鉢が植物に比べて小さいものが多いので、ひとまわり大きな鉢に植え替えると生育が良くなります。植え替えは1年に1回が理想ですが2年でも良いと思います。時期は5月から7月頃がリスクも少なく適期です。根を傷めなければ一年中可能です。9月から10月頃も可能ですが、冬の寒さがやってくる前に早めに済ませましょう。植え替えの後2週間ぐらいは、強い光や風は避けて養生させてください。
VINICE 植え替えたばかりは、いつも以上に慎重に扱うことが大切なのですね。では、植え替えの際に土が必要になってきますが、どんな土がよいのでしょうか。
VINICE 根ぐされ防止剤というものがあるのですね。以前、根ぐされを起こしてしまったことがあったので、根ぐされ防止剤を使ってみたいと思います。では、インテリアプランツに虫がついた場合はどうしたらよいですか?
育て方 病害虫対策編
兼松先生 殺虫剤ボルンインテリアプランツではほとんどの種類で病気については問題がありませんが、室内で多く発生する害虫の対策は必要です。 ガーデンプランツと異なり室内では予防に薬剤の散布を頻繁に行うのは難しいので、発生を確認した時点での効果的な対策が必要です。 菌類や細菌といった病気より害虫は目視で発生の確認が容易なので、発生初期の対策で被害を最低限にすることができます。発生が確認できたら薬剤は使用しにくい環境なので、極力拭き取りや発生した枝葉の除去などで害虫の個体数を極力減らし、発生した局部のみの薬剤の散布を行います。 害虫の種類により使用する薬剤が異なりますので、販売店や専門家などのアドバイスにより適切な薬剤と使用法を選択してください。室内の環境では天敵が存在しないためや安定した環境であるために短期間に被害が大きくなるケースもあります。害虫の発生が食い止められない場合は思い切って廃棄も必要です。
VINICE まずは、目で見て虫がついているかを確認し、ついていたら対策をすればよいのですね。
育て方 生産現場と置き場所のギャップ編
兼松先生 植物はその原産地の環境によって耐寒性や耐陰性が異なりますが、ある程度であれば原産地と異なる環境に慣れさせることができます。 しかしながら、生産現場では最も良好な環境で育てられることが多いので、購入後の一般家庭の環境にすぐに順応できず、慣れるまでしばらく時間が必要なケースがあります。 例えば、もともと強い日光に耐える種類であっても適度に遮光された環境で生産された場合は、購入後に夏季の戸外のような強日光下に置くとすぐには新しい環境に適応できず、日焼けを起こすケースがあります。したがって耐陰性の高い種類であっても、耐寒性の高い種類であってもしばらくは穏やかな明るい環境においてゆっくりと環境に慣れさせるのが良いでしょう。
VINICE 植物も人と一緒で、移った後の環境にまずは慣らすことが大切なのですね。インテリアプランツを購入するのに適した時期というのはあるのでしょうか。
育て方 植物の購入時期編
兼松先生 探していたほしい種類がやっと見つかったときであれば即購入で良いと思いますが、もしも時期を選べるのならば5~6月、9~10月のエアコンを使わない季節の方が、お部屋の環境に植物を慣れさせ易いので良いと思います。この時期は、インテリアプランツの流通量も多く、運ぶ途中での痛みもないので良い状態のものが入手できます。
VINICE 春または秋がよいのですね。
底面灌水
兼松先生 つづいて、底面潅水についてお話しましょう。 土の過湿で根が呼吸できなくなると根腐れが起こりますが、最適な水分や空気を安定して根に与えることができる方法が「底面潅水」です。培養土の表面からではなくコンテナの底に水を貯めて底から水を与えるので底面潅水と呼んでいます。 大型のものは現在では流通していませんが、小型のものは店頭で購入できます。底面給水タイプは専用のコンテナが販売されていて、底面給水は2種類のタイプがあります。
VINICE 培養土の上から潅水する以外にも別の潅水方法があるのですね。
兼松先生 上記の2タイプでも、日のあたる所でも、培養土の表面にカビのような白い粉が発生することがありますが、それは培養土中の塩類や老廃物が表面に集積し濃縮されたものです。定期的に貯まった水を取り替えることと上から水を与えて老廃物や塩類を洗い流す必要があります。
VINICE では、2タイプでの施肥の注意点はありますか?
兼松先生 培養土に与える通常の施肥では水が常に貯まっているので、肥料成分の濃縮により根ぐされが起きます。葉から吸収させる面散布タイプの施肥が望ましいです。
VINICE では、最後にインテリアプランツを育てるにあたってアドバイスをお願いします。
兼松先生 インテリアデザインを構成する家具等の多くは近代では工業生産によって生まれたものです。その素材はさまざまで、生命のないもので構成されています。けれども、植物を適切に配置することによりインテリアデザインに潤いをもたらすことができます。 また、植物は直線の無い柔らかい姿を持ち、細かい葉を持つものでは背景との輪郭線があいまいになるため、眺めたときに視覚を休ませることができます。 吟味されたインテリアプランツはデザインの中に潤いを与えることができます。植物の種類や管理方法を吟味すればそれほど多くの苦労を必要とはしません。 大切に育てられお部屋に合った植物はオンリーワンのインテリアになります。是非、インテリアプランツを楽しみながら育てていただき、インテリアとしても楽しんでいただければ、と思います。
VINICE 兼松さん、ありがとうございました。 インテリアプランツの基本的なことから詳しい育て方まで教えていただきました。インテリアプランツを育てるにあたっては、変わった様子がないかを頻繁に見て、向き合うことが上手に育てるポイントではないのかな、と思いました。インテリアプランツとインテリアを上手に組み合わせて、ステキな空間の演出をしてみてはいかがですか。
『グリーンでつくるインテリア』~インテリアプランツでお部屋を「素適」アップ~
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